2015年08月20日

られたでおちゃらけ

を出かかったところで、二条乃梨子はそのにやけた声に呼び止められた。
振り返った先にいたのは、油断のならないその声から想像したとおりの顔だった。忘れるはずがないだろう。こんなに日本人離れした顔だちの人間は、そんなにそうそうお目にかかるものではない。しかも、この自分を皮肉って「未来の白薔薇さま」ときたもんだ。そこまて呼ぶほどの人間は、日本じゅう探してもなおさらいない。

佐藤聖は二本指を額の横にかざして、スポーティな決めポーズをとっている。
まるで、ひと昔前のファッション誌網絡聲譽管理の少年モデルのようだ。ハンチング帽をかぶり、春物のジャケットを着たその姿こそ、彼女の生来そのままを表現している。自分とおなじ、ネイビーブルーの古式ゆかしい制服をこの人が纏っていたなんてとうてい想像できない。この人は、これから先もずっと、制服なんてものが似合わない生き方を選んでいくのだろう。教師の娘である乃梨子には、そんな生き方には微塵も共感できなかった。

「…まだ、白薔薇の蕾(ロサ・ギガンティア・アン・ブゥトン)ですよ、私」

鞄を律儀に前で両手で提げて、すたすたと通り過ぎようとする乃梨子。
その肩を引っ掴んで、聖は高壓通渠強引にこちらに振り向かせた。

「姉を差し置いて、そんな称号名乗DR REBORN投訴っちゃいけないってか。律儀だねぇ。のりぴー、君はりっぱな妹の鑑だよ、まったく」
「だから、そのふざけた呼び方止めてもらえませんか。佐藤聖さん」



Posted by ンを連れて来て at 13:10│Comments(0)
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